「マッサージを受けるとその日は楽になるけど、数日したらまた元に戻る」
「腰が痛いから腰を施術してもらっているのに、なぜか変わらない」
「肩こりが慢性化していて、もう何年もこの状態が続いている」
こういう経験をしている方は、実はとても多いんです。
ではなぜ、症状が戻ってきてしまうのでしょうか?
その答えのひとつが、今回お伝えする「腹腔内圧(お腹の中の圧力)」にあります。
腰が痛いのに、原因は腰じゃない。肩がこっているのに、肩だけ施術しても意味がない。頭が痛いのに、頭は関係ない。こう聞くと「えっ?」と思うかもしれませんが、これがお腹の圧力が引き起こす全身症状の実態です。
この記事では、アレーズ整骨院鍼灸院が臨床で重視している「内臓圧力中央モデル」をもとに、腹腔内圧がどのように全身に影響を与えるのか、できるだけわかりやすく解説していきます。
内臓圧力中央モデルとは何か
まず「内臓圧力中央モデル」という言葉を聞いて、「難しそう…」と感じた方も多いと思います。でも概念自体はシンプルです。
「お腹の中の圧力が高まると、それが体全体に連鎖的な影響を与える」という考え方です。
お腹(腹腔)の中には、胃・小腸・大腸・肝臓・腎臓などの臓器が詰まっています。この腹腔の中の圧力のことを「腹腔内圧(IAP:Intra-Abdominal Pressure)」と呼びます。
健康な状態では、この圧力はある程度コントロールされています。ところがさまざまな原因でこの圧力が慢性的に高まると、まず隣り合っている「胸腔(胸の中の空間)」にもその圧力が波及します。そして胸腔内圧が上がると、さらに全身の力学的バランスや血液・リンパの流れ、神経への圧迫など、多岐にわたる問題が起きてきます。それがこのモデルの核心です。
影響が及ぶ範囲は非常に広く、筋骨格系(腰・骨盤・脊柱)・神経系(脊髄・末梢神経)・循環系(静脈・門脈)・呼吸と姿勢制御・内臓機能(モビリティ)・ファシア(筋膜)の緊張——これら全部が「お腹の圧力」というひとつの問題でつながっているわけです。
なぜ腰痛が起きるのか|椎間関節と仙骨への影響
椎間板が縮んで椎間関節が変形する
腹腔内圧が上がると、まず起きるのが椎間板への影響です。
椎間板はもともと水分を多く含んだ構造をしていて、クッションの役割を果たしています。ところが腹腔内圧・胸腔内圧が高まると、この圧力が椎間板にかかり、水分が「脱水」するような状態になります。
水が抜けた椎間板は当然、高さが縮みます。椎間板の高さが縮むと何が起きるか。椎間関節(背骨の小さな関節)同士の接触面積が増えてしまいます。接触面積が増えれば、当然そこにかかる圧力も集中します。椎間関節の軟骨や細胞外マトリックス(組織の構造を保つ成分)が変性を起こし、最終的に関節の変形が進んでいきます。
これがいわゆる「椎間関節症」や「変形性脊椎症」の入り口のひとつです。
仙骨が下がって、腰を支える筋肉が限界を超える
椎間関節が圧縮・変形すると、次に仙骨(背骨の一番下にある骨)が微妙に押されて下方へとずれやすくなります。
仙骨がずれそうになると、体はそれを防ごうとします。その役割を担うのが腹横筋(お腹の深い筋肉)と骨盤底筋(骨盤の底にある筋肉)です。「仙骨が動かないように、ずっと収縮し続けてください」という状態になるわけです。
ところが、筋肉というのは本来「収縮と弛緩」を繰り返すことで機能します。持続的に収縮し続けると、筋肉は過緊張状態になって、本来の働きができなくなってしまいます。この状態が、次に説明する「APA(予測的姿勢調整)」の機能低下につながっていきます。
腰痛が繰り返す理由|APAという「予測機能」の崩壊
動く0.5秒前に起きていること
「APA(予測的姿勢調整:Anticipatory Postural Adjustment)」という言葉を聞いたことがある方はあまりいないと思います。でも、これが腰痛の再発と深く関わっています。
APAとは何か。僕たちが手を伸ばす・足を踏み出す・物を持つなどの動作をするとき、実際に動く約0.5秒前に腹横筋が先に収縮して体幹を安定させる「予測的な準備動作」のことです。
例えば右腕を前に伸ばすとき、体はふらつきそうになります。それをあらかじめ防ぐために、腹横筋が先に働いて体の中心(体幹)を固めてから動くわけです。これが予測的姿勢調整です。
APAが壊れると腰に直撃する
ところが、腹横筋がすでに過緊張状態(仙骨を守るためにずっと収縮している状態)になっていると、APAが正常に機能しなくなります。準備ができていないまま動くわけですから、動作のたびに腰椎(腰の背骨)に大きな負担がかかります。これが慢性腰痛の大きな原因のひとつです。
スタッフ:「腰痛がなかなか治らないのって、腰以外に原因があることもあるんですよ」
患者さん:「えっ、腰が痛いのに腰じゃないんですか?」
スタッフ:「はい。お腹の圧力が高まっていると、体幹を安定させる筋肉がうまく働けなくなって、それが腰への負担につながるんです。施術で腰を緩めても、根本の圧力問題が残っていると結局また戻ってきてしまいます」
患者さん:「じゃあ、腰じゃなくてお腹の方を診てもらう必要があるんですね」
頭痛・めまい・自律神経の乱れ|静脈循環への影響
「腹腔内圧が頭痛の原因になる」と聞くと、多くの方が「本当に?」と思うはずです。でも、メカニズムを知るとなるほどと納得できます。
頸の静脈が詰まると頭の中に影響が出る
腹腔内圧が高まると、下大静脈(体の下半身から心臓に戻る大きな静脈)や頸内静脈(頭から心臓に戻る太い静脈)の循環が悪くなります。
頸内静脈の流れが悪くなると、頭の中の静脈に血液がうっ滞(たまってしまう)状態になります。そうなると、脳の老廃物が排出されにくくなる・酸素や栄養素が届きにくくなる——この状態が、ブレインフォグ(頭がぼーっとする感じ)・頭痛・めまい・自律神経失調症のような症状につながります。
「なんとなく頭が重い」「集中できない」「朝から頭が痛い」という症状が続いている方の中には、こうした静脈循環の問題が背景にある場合があります。
横隔膜の圧力が静脈を圧迫する
さらに深刻なのが横隔膜の圧力の問題です。通常、横隔膜は呼吸のたびに動いていて、横隔膜を通る下大静脈の血流をポンプのように助けています。
ところが腹腔内圧が上昇して、横隔膜の圧力が下大静脈の圧力を上回ってしまうと、下大静脈の血流が著しく悪化します。そうすると影響が出るのが「横隔膜より下の静脈」、特に腰椎・腰髄レベルにあるマドソン静脈や椎骨静脈叢(背骨周囲の静脈網)です。
この椎骨静脈叢の循環が悪くなると、腰髄レベルで静脈血がうっ滞し脊髄が圧迫される状態になります。これが「腰痛」や「脊柱管狭窄症のような症状(下肢のしびれ・歩行困難)」の原因になりえます。脊柱管狭窄症と診断されている方の中にも、この腹腔内圧問題が根本にある場合があります。
坐骨神経痛・生理痛|骨盤内の静脈うっ血
腹腔内圧の上昇は門脈(消化管から肝臓に向かう静脈)の循環にも影響します。下大静脈の流れが悪くなると門脈の流れも悪くなり、結果として骨盤内の静脈うっ血が起きます。
骨盤の中にある仙骨神経・腰仙骨神経叢が骨盤内のうっ血によって圧迫されると、坐骨神経痛(お尻から足にかけての痛みやしびれ)・生理痛の悪化(女性)・下肢の重だるさなどが現れてきます。
スタッフ:「坐骨神経痛でお悩みの方の中には、骨盤の中の血流が滞っていることが原因の場合もあるんです」
患者さん:「坐骨神経痛って、ヘルニアや骨が原因だと思っていました」
スタッフ:「もちろんそういうケースもあります。ただ、骨盤内の静脈がうっ血して神経が圧迫されているケースも少なくないんです。根本はお腹の圧力バランスの乱れが関係していることがあります」
患者さん:「生理痛もそこにつながるんですか?」
スタッフ:「はい。骨盤内のうっ血は子宮周囲の神経や血流にも影響しますので、生理痛が強い方でもお腹の圧力問題が絡んでいることがあります」
慢性肩こり・首の痛み|横隔膜と呼吸補助筋の連鎖
横隔膜は「呼吸筋」だけじゃない
横隔膜は「呼吸するための筋肉」というイメージが強いですが、研究によって片側だけでも独立して収縮できることがわかっています。つまり横隔膜は「姿勢を保持する筋肉」としての役割も持っているということです。
左腹腔内圧が上がると左肩・左首がこる
例えば、左側の腹腔内圧が高まると左の横隔膜の動きが制限されます。そうすると体は「代わりの筋肉で呼吸しよう」と代償し、呼吸補助筋である胸鎖乳突筋・斜角筋・僧帽筋が常に働き続ける状態になります。これが慢性的な肩こりや首の痛みの正体です。
肩こりがひどくていくらほぐしてもすぐに戻るという方は、横隔膜・さらにはその下にある内臓(胃や肝臓など)の問題が根本にあるかもしれません。
横隔膜は「一次病変になりにくい」
重要な点として、横隔膜自体が「最初に傷んでいる(一次病変)」ケースはほとんどありません。横隔膜は「角膜臓器」と表現されるほど丈夫で、それ自体が壊れることは稀です。横隔膜に問題が起きているとき、多くの場合は横隔膜のすぐ下にある胃・肝臓・膵臓などの状態が影響を与えています。
そのため横隔膜へのアプローチをするときも、「横隔膜の下に何があるか」「どの臓器が圧力を生み出しているか」を見ないと、根本的な改善にはつながりません。
胸郭出口症候群|ファシアの緊張連鎖
「腕がしびれる」「手が冷たくて感覚が鈍い」という胸郭出口症候群にも、お腹の圧力問題が深く関係しています。
横隔膜の圧力が高まると隣に位置する斜角筋の緊張が高まります。斜角筋が緊張すると、胸膜張靭帯・凹凸胸膜張靭帯・肋骨胸膜張靭帯といった靭帯・膜構造にも緊張が伝わります。これらは四部存筋膜の繊維の中に強固な繊維束として存在しています。
腹腔内圧の問題で斜角筋に緊張が起きると、この筋膜全体に緊張が伝播し、最終的に胸郭出口を圧迫します。オステオパシーの権威であるヴァラルも、胸郭出口症候群の改善にはこれらの靭帯・膜構造の緩和が必要だと述べています。
股関節・歩き方への影響|閉鎖膜から骨頭靭帯へ
腹腔内圧が上がると骨盤内圧も高まり、骨盤内側の閉鎖膜が緊張します。閉鎖膜は間骨9合靭帯につながり、その先に大腿骨頭靭帯(股関節の中心にある靭帯)があります。この連鎖が緊張すると股関節の動きが制限されます。
ヒップストラテジーからアンクルストラテジーへ
バランスをとるとき、正常な体は「股関節を中心に体幹をコントロールするヒップストラテジー」を使います。ところが股関節の機能が低下すると、「足関節(足首)でバランスをとるアンクルストラテジー」に移行します。
このアンクルストラテジーは高齢者に多く見られるパターンで、転倒しやすく痛みの再発リスクも高まります。「施術で良くなってもすぐ戻る」という方は、この姿勢戦略の問題が関係している可能性があります。
スタッフ:「股関節がうまく使えていないと、腰や膝だけじゃなく全身の痛みが出やすくなるんですよ」
患者さん:「股関節って、股が痛くなければ問題ないと思っていました」
スタッフ:「股関節自体に痛みがなくても、動きが制限されることで体全体のバランスが崩れてしまいます。お腹の圧力問題が閉鎖膜を緊張させて、そこから股関節まで影響が連鎖することがあります」
患者さん:「じゃあ股関節を柔らかくするだけじゃなくて、お腹の圧力を整えることも必要なんですね」
スタッフ:「そうです。根本の圧力バランスを整えながら、股関節の動きも一緒に改善していくことが大切です」
姿勢と腰椎|「姿勢が悪いから腰痛」は半分しか正しくない
「姿勢が悪いから腰が痛くなる」とよく言われますが、これは半分しか正しくありません。実際には、腰の姿勢が悪くなる原因のひとつが腹腔内圧の問題だからです。
腹腔内圧が高まってAPAの機能が低下すると体幹が不安定になり、体は代わりに「背筋を使って背骨を固める」戦略をとります。これが慢性的に続くと腰椎の自然なカーブが乱れ、「腰が反りすぎ」や「腰が丸まりすぎ」といった姿勢の問題が固定化されていきます。
「姿勢を直せ」と言われていくら意識しても改善しない方は、根本にある腹腔内圧の問題を解消しないと体が勝手に「この姿勢に戻る」ようになっているわけです。
呼吸と腹腔内圧|「正しい呼吸」がなぜ大切なのか
横隔膜呼吸が圧力を整える
横隔膜を使った腹式呼吸をすると、吸気時に横隔膜が下がり呼気時に上がります。この動きが腹腔内の圧力を自然にコントロールするポンプとして機能します。また横隔膜の動きは下大静脈の血流を助ける役割もあります。
浅い呼吸が圧力問題を悪化させる
デスクワーク・スマートフォン長時間使用・慢性的なストレスによる交感神経優位——こういった状況が続くと横隔膜をしっかり使った深い呼吸ができなくなります。横隔膜が動かない状態では腹腔内圧のコントロールが乱れ、代わりに呼吸補助筋が常に働き続ける状態になります。
アレーズ整骨院鍼灸院では施術に加えて、横隔膜呼吸の習得を含む呼吸の再指導も積極的に行っています。施術で圧力を整えても、日常の呼吸が浅いままでは同じ問題が繰り返されてしまうからです。
コルセットの長期使用について
腰痛の方でコルセット(腰部ベルト)を常用している方がいますが、長期使用には注意が必要です。コルセットで腹部を締め付けると腹腔内圧がさらに高まります。また外から腹部を固めることで腹横筋や骨盤底筋が本来の仕事をしなくなり、体幹筋の機能がさらに低下してしまいます。
「コルセットがないと不安」という状態は、体が自分の力でバランスをとる機能を失っているサインです。コルセットを安心して外せるよう、腹腔内圧の問題を解消し体幹の自己制御機能を回復させることが重要です。
内臓モビリティの低下|全身症状の長期化を招く
腹腔内圧が慢性的に高まった状態が続くと、内臓そのものの「動き(モビリティ)」が低下します。内臓は呼吸のたびに・歩くたびに微妙に動いています。例えば肝臓は呼吸一回ごとに1〜2cm上下に動きます。
この「動き」が圧力によって制限されると、消化・吸収・排泄・ホルモン分泌など体の根本的な機能が低下します。また内臓モビリティの低下は「内臓由来の痛み」を引き起こすこともあります。背中の右側が重い・鈍痛がする・場所が特定できないような違和感——こういった症状の背景に内臓の問題が潜んでいることがあります。
日常生活でできること|腹腔内圧を下げるためのセルフケア
施術を受けながら、日常生活でも意識できることがあります。
呼吸を深くする習慣をつける
仰向けに寝てお腹に手を置き、吸うときに手が持ち上がり吐くときに下がる——これが横隔膜を使えている証拠です。最初は意識しないとできない方が多いですが、繰り返すことで習慣になっていきます。
腹部を強く締めつけない
スキニーパンツや補正下着・きつめのベルトなど、お腹を外から締め付けるものは腹腔内圧を上げる要因になります。また食後すぐに仕事や運動をすることも、胃が膨張した状態でお腹に負担をかけます。
腹筋を「締める」より「使う」意識で
体幹トレーニングで大切なのは「ぎゅっと締める」ことではなく「動きに連動して適切に活動する」こと。腹横筋を「薄く引き込む」イメージで、深呼吸をしながら動く形でのトレーニングが望ましいです。
スマートフォンと姿勢
長時間のスマートフォン使用は頭が前に出た前傾姿勢を固定させ、横隔膜の動きも制限します。1時間に1度は立ち上がって肩甲骨を引き寄せるような動作を入れる習慣が、呼吸と圧力バランスを保ううえで意外と大きな効果を持ちます。
まとめると|腹腔内圧が引き起こす症状一覧
ここまで説明してきた内容を整理します。腹腔内圧の上昇が関わりうる症状は非常に広範囲にわたります。
筋骨格系では、腰痛・椎間関節症・変形性脊椎症・坐骨神経痛・肩甲骨間の痛み・首の痛み・股関節機能低下・可動域制限が挙げられます。
神経系・循環系では、頭痛・ブレインフォグ・めまい・脊柱管狭窄症様症状・下肢のしびれ・手のしびれ(胸郭出口症候群)が起こりえます。
自律神経・全身症状として、自律神経失調症様症状・疲労感・集中力低下・慢性肩こり・慢性首こりがあります。
内臓・婦人科系として、内臓由来の痛み・生理痛(女性)・消化機能低下があります。
これだけ広い症状が、「お腹の圧力」というひとつの問題でつながっている可能性があります。
よくある思い込み|「痛いところを施術すれば治る」の落とし穴
整骨院・整体・マッサージに通っていてなかなか良くならない方のほとんどが、「痛いところを施術すれば治る」という思い込みを持っています。
腰が痛ければ腰をほぐす。肩がこれば肩を揉む。確かに痛みは和らぎますが、多くの場合しばらくすると戻ってきます。なぜなら「症状が出ている場所」と「問題の原因がある場所」は、多くのケースで一致しないからです。
内臓圧力中央モデルで言えば、腰痛の原因はお腹の圧力かもしれない。肩こりの原因は胃や肝臓の影響を受けた横隔膜かもしれない。頭痛の原因は静脈循環の問題かもしれない。こういう「症状と原因のズレ」を理解せずに施術を続けても根本的な変化は起きません。
「慢性症状=老化・体質」ではない
「もう年だから仕方ない」「自分の体質が悪いんだ」という言葉をよく耳にします。確かに加齢による変化はありますが、慢性症状のすべてが加齢・体質で説明できるわけではありません。
腹腔内圧の問題は20代〜40代の比較的若い方でも起きます。デスクワーク主体の生活・運動不足・浅い呼吸・慢性的なストレスによる腹部緊張——こういった現代的な生活習慣が、お腹の圧力問題を引き起こしやすい環境を作り出しているからです。
アレーズ整骨院のアプローチ|根本から整える
まず「どこに問題があるか」を丁寧に評価する
症状を診る前に、まず圧力バランスを丁寧に評価することが出発点です。腹腔内圧・胸腔内圧のバランス、仙骨の位置と動き、腹横筋・骨盤底筋の緊張度、APAの機能、静脈循環の指標(頭頸部症状・下肢浮腫など)、横隔膜の左右差、呼吸補助筋の緊張状態、内臓モビリティ——これらを総合的に評価して、症状の根本にある圧力問題を特定します。
施術は「圧力を整えること」から始まる
腰が痛い方に対して「腰だけを施術する」ことはしません。腹腔内圧の問題があればそこへのアプローチを優先します。
内臓モビリティへのアプローチ(内臓の動きを正常化する)・横隔膜へのアプローチ(横隔膜の下にある内臓の問題から改善)・ファシア・靭帯(胸膜張靭帯・四部存筋膜など)の緊張緩和・閉鎖膜・関連靭帯連鎖へのアプローチ・股関節機能の改善——こうした施術を組み合わせることで「腰をほぐしても戻ってしまう」「肩こりが慢性化している」という状態を根本から変えていきます。
姿勢・呼吸の再教育も重要
施術だけで終わりではありません。ヒップストラテジーの再獲得・横隔膜呼吸の指導・日常姿勢の見直しなど、再発防止のための指導もセットで行います。施術後にまた腹腔内圧を高める習慣が続けば、同じ問題が繰り返されてしまうからです。
よくある質問
Q. お腹を触られるのが苦手ですが、施術は痛いですか?
A. 内臓へのアプローチは強い刺激を与えるものではありません。優しく内臓の動きを誘導するような施術で、圧迫感や痛みを感じることはほとんどありません。
Q. 整形外科でヘルニアや脊柱管狭窄症と診断されています。施術を受けても大丈夫ですか?
A. 多くの場合は問題なく施術を受けていただけます。ただし症状の程度や状態によっては医師との連携が必要なケースもあります。まずはご相談ください。
Q. 自律神経失調症と言われていますが、関係ありますか?
A. 関係している可能性があります。腹腔内圧の上昇による静脈循環の問題は自律神経系にも影響を与えます。他の病院で原因不明・自律神経の問題と言われた症状が、圧力バランスの改善で変化するケースがあります。
Q. 生理痛が毎月ひどいのですが、整骨院で診てもらえますか?
A. 婦人科的な疾患の診断・治療は医師の領域ですが、骨盤内の圧力バランスや循環の問題が生理痛に関わっている場合、そのアプローチで改善するケースがあります。婦人科と並行してご相談いただくことも多いです。
Q. コルセットを毎日使っているのですが、外した方がいいですか?
A. 急性期(ぎっくり腰直後など)の使用は問題ありませんが、慢性的な使用は腹腔内圧をさらに高め、体幹筋の機能低下につながります。コルセットを安心して外せるよう体幹の自己制御機能を回復させる施術と指導を行っています。
こんな症状が続いているなら、一度診せてください
腰痛・坐骨神経痛が長期間続いている・肩こり・首の痛みが慢性化している・頭痛・めまい・ブレインフォグが続いている・胸郭出口症候群(腕・手のしびれ)がある・脊柱管狭窄症と言われたが手術はしたくない・施術を受けるたびに改善するがすぐ戻ってしまう・生理痛が毎月ひどい(女性)・体が全体的にだるく原因がわからない——こうした症状でお悩みの方は、ぜひ一度アレーズ整骨院鍼灸院にご相談ください。
「症状を診る」のではなく「体の圧力バランスを整える」という視点で、あなたの体の根本的な問題を一緒に探っていきます。
最後に
今回の記事でお伝えした「内臓圧力中央モデル」は、まだ一般的にはあまり知られていない考え方です。でも臨床の現場では「腹腔内圧の問題が全身症状の根本にある」というケースを日々目にします。
「なかなか治らない」「また再発した」——そういう経験を繰り返している方こそ、圧力バランスという新しい視点から自分の体を見直してみてください。
体のどこか一か所に原因を求めるのではなく、体全体のつながりを見ながら根本を整える。それが、アレーズ整骨院鍼灸院が大切にしていることです。
西船橋・船橋エリアでこのような症状でお困りの方、お気軽にご相談ください。
アレーズ整骨院鍼灸院|西船橋・船橋エリア
補足|圧力問題はなぜ今まで見落とされてきたのか
整形外科や一般的な整体・マッサージでは、症状が出ている部位を診ることが基本です。腰が痛ければ腰のMRIを撮り、椎間板や神経の状態を確認する。これはもちろん重要なことです。しかしそのアプローチでは「なぜそこが悪くなったのか」という根本原因まで掘り下げることは難しい場合があります。
内臓圧力中央モデルのように「体全体の圧力バランス」という視点は、比較的新しい考え方です。オステオパシーや内臓マニピュレーションの分野では以前から注目されてきましたが、一般に広まるまでには時間がかかっています。
また、圧力の問題は画像(レントゲン・MRI・エコー)では直接見えません。触診・動作評価・症状の経緯を丁寧に聞き取ることで初めて把握できる問題です。だからこそ、「画像で異常がないのに痛い」「原因不明と言われた」という方が、圧力問題を根本に持っているケースがあるのです。
アレーズ整骨院鍼灸院では、こうした「見えにくい問題」を丁寧に評価し、体全体のつながりの中で症状を読み解くアプローチを大切にしています。
参考|内臓圧力中央モデルに関連する主な専門用語
この記事で登場した専門用語を簡単にまとめます。より深く理解したい方の参考にしてください。
腹腔内圧(IAP):お腹の空間(腹腔)の内部にかかる圧力。正常時は呼吸や姿勢によって変動するが、慢性的に高まると全身への影響が出る。
APA(予測的姿勢調整):動作の約0.5秒前に腹横筋が先行して収縮し体幹を安定させる自動的な仕組み。腰痛予防に重要な機能で、腹腔内圧の問題によって障害される。
ヒップストラテジー/アンクルストラテジー:体のバランスを保つための姿勢戦略。股関節中心のヒップストラテジーが正常で、足関節中心のアンクルストラテジーへの移行は痛みの再発リスクを高める。
内臓モビリティ:内臓が呼吸や体の動きに合わせて自由に動ける能力。腹腔内圧が高まるとこの動きが制限され、内臓機能の低下や痛みの慢性化につながる。
ファシア(筋膜):全身の筋肉・臓器・神経・血管などを包む結合組織の膜。圧力問題や姿勢の問題が特定のファシアに緊張を引き起こし、離れた部位に症状を生み出すことがある。
椎骨静脈叢:背骨周囲に分布する静脈網。腹腔内圧の上昇で循環が悪化すると、腰髄レベルの脊髄うっ血につながり、腰痛や脊柱管狭窄症様症状の原因となる。
アレーズ整骨院鍼灸院は、こうした知識と技術をもとに、症状の根本から体を整えることを使命としています。西船橋・船橋エリアでお悩みの方、まずは一度ご相談ください。







