リーキーガット症候群とは?
リーキーガット症候群とは、何らかの原因により腸壁に炎症が起き、本来均一に並んでいる細胞のつながりに乱れが発生して起こる症状です。
腸壁のバリアが壊れることで、隙間なく閉じている細胞(タイトジャンクション)同士に隙間が空き、そこから毒素やウイルス・完全に消化されなかった食べ物などといった炎症物質が腸壁外に流出してしまいます。
本来腸外に流出してはいけないカビや細菌・病原体や毒素、その他有害物質が血液中に流入して体内全体を巡り、様々な悪影響を与えます。
このことから腸漏れ症候群や腸管壁浸漏とも呼ばれています。
アレルギー症状の原因の可能性も
食後数日以上経ってから現れるアレルギーを「遅延型アレルギー」といい、発疹・アトピー・蕁麻疹などの皮膚疾患から、喘息・鼻詰まり・副鼻腔炎・後鼻漏などの耳鼻科疾患まで症状は様々です。
食物アレルギーでイメージされる症状は、摂取した直後から数時間程度で症状が発生しますが、遅延型アレルギーでは摂取後から2・3日後に症状が発現するため食事との関連性が分かりにくいのです。
リーキーガットでは毒素や異物が全身に巡り、至るところで炎症を起こしてしまう症状ですので、皮膚のかゆみや喉・鼻の炎症の原因がリーキーガットによる慢性炎症である可能性もあるのです。
また、生活習慣病と言われる慢性疾患もリーキーガットが関係していると言われています。
生理痛・不順との関連も
腸内環境は女性ホルモンの正常な分泌にも関係しており、腸内環境が悪化していると女性ホルモンのバランスを乱すことに繋がります。
リーキーガット症候群の女性では、腸内環境の悪化からホルモンバランスが乱れ、整理痛や生理不順、月経前症候群(PMS)を抱えているケースが多くあります。
リーキーガット症候群の原因
腸管内は本来、細菌や毒素、異物を体内に巡らないようバリア機能が備わっています。
しかし、普段の食生活によって腸のバリア機能が低下することで腸壁が傷つき、やがて腸壁の隙間から毒素が漏れ出すようになります。
炎症を起こさせる食事や習慣を見直し、腸内環境を正常に保つことが重要です。
カゼインの摂取
乳糖不耐性乳製品には多くのα-カゼインが入っており、うまく消化されずそのまま腸に入り、腸粘膜を傷つけ炎症を起こしやすくします。
カゼインが多く含まれる食品には牛乳や乳製品・小麦があり、ジャンクフードや丼ものなどの栄養の偏った一品料理では過剰摂取になりやすくなります。
また日本人は牛乳などに含まれる乳糖に対し耐性がない「乳糖不耐性」の人が多く、乳糖をうまく消化吸収できず下痢などの症状を引き起こします。
酪農を古くから行ってきた欧米人と比べ、乳製品をあまり摂ってこなかった食文化のため、日本人の3人に2人が乳糖不耐性と言われています。
グルテンの摂取
小麦などに含まれるグルテンは、小麦粉に水を入れ捏ねることで出来る成分です。
グルテンには血糖値を大幅に上昇させるアミロペクチン(糖)や腸内環境を悪くするグリアジン(アミノ酸)が含まれるため腸壁を傷つける原因になります。
糖質の過剰摂取
炭水化物や砂糖のうち、特に精製された砂糖や炭水化物などの糖質は腸内に存在するカンジダ菌の餌となります。
精製された糖とは、例えば玄米の外皮を削った白米や白く純度の高い小麦や砂糖へ精製したものであり、精製する過程で多くの栄養素も失われています。
精製した糖は吸収されやすく血糖値を急激に上昇させるため、急速に低下してしまい血糖値が乱高下することになり、内臓へ負担をかける原因にもつながります。
精製された糖の過剰摂取によってカンジダ菌が大量増殖すると、腸内フローラが悪玉菌に傾き、腸の炎症を引き起こす原因となります。
食品添加物の摂取
人工的な食品添加物は腸内で消化しづらく消化負担が大きく、腸の粘膜を傷つけてしまいます。
食品添加物は様々な食品に含まれますが、日常的かつ大量に摂取することはリーキーガット症候群を引き起こす原因になります。
リーキーガット症候群の改善
リーキーガット症候群は日頃の食生活を見直すことで改善を図ることができます。
偏った食事からバランスの良い食事に切り替えると、栄養補給が改善されるだけでなく体内のエネルギー代謝を向上させることに繋がります。
また、現代の食事はジャンクフードや肉食に偏った食事によって血圧が急上昇しやすく、反動で急降下することで低血糖に陥りやすくなっています。
食事・栄養が見直されると低血糖の問題も改善していくことが期待できますので、身体の様々な症状や悩みを改善するための重要な要素になります。
腸内環境を悪化させる食品を控える
過剰な糖質や動物性脂質は、内臓が分解のために働き疲労する原因になります。
内臓の疲労はやがて消化・吸収する能力の低下を招くため、結果として腸内環境が悪化することになります。
特に過剰な糖の摂取によってカンジダ菌が大量増殖してしまうと、慢性的な腸の炎症を引き起こします。
薬に頼りすぎない
服用した薬を消化するために、解毒を担っている肝臓が疲労する原因になります。
皮膚に塗布するステロイド剤や抗生物質も、腸内細菌をまとめて殺してしまうためカンジダ菌の増殖が好発しやすくなります。
ストレスを発散する手段を持つ
ストレスは交感神経を興奮させ、自律神経を乱す原因になります。
交感神経は内臓の働きを弱めるため便秘や消化力低下を引き起こしやすく、ストレスによる腸内環境の悪化と相まって加速してしまいます。
当院の栄養指導
当院では身体の痛みに対して、筋骨格に加え内臓の観点から治療を行っています。
身体の取れない痛みの原因が、腸内環境の悪化に端を発するリーキーガット症候群に潜んでいる可能性がある場合、当院では身体のケアに加えて日頃の食事や生活指導を行い、改善を促していきます。
内臓は基本的に機能低下を起こすと位置が下垂してしまいます。
当院では身体の外から各内臓の位置を引き上げる手技と、関連する周囲の組織の緊張をほぐすことで機能を向上する施術を合わせて行っております。
「食生活が乱れていることは分かっているけど、何から手を付けていいのか分からない」
「忙しくてなかなか毎日の食事に気を使えない」
といったお悩みも、まずは取り入れやすい健康習慣・食品についてアドバイスさせていただきますので、お気軽にご相談くださいませ。